第1章:変わっていく自分、変わらない家庭──離婚を意識した瞬間
「このままでいいのか?」と強く感じたのは、転勤で新しい土地に移ったことがきっかけでした。
職場環境にも恵まれ、人間関係や仕事に前向きになれた私は、自分のスキルアップのために“自己投資”を始めました。書籍を買ったり、講座を受講したり。自分を磨くことが楽しく感じられる時期でした。
しかしそれは、妻にとって「無駄遣い」に映っていたようです。
「そんなにお金をかけて何になるの?」「家計を圧迫してるだけじゃない?」と言われるようになりました。
妻は、見知らぬ土地で母親同士の繋がりもなく、育児に追われる日々の中でストレスを抱えていました。「家庭のことも、もう少し見てほしい」と言われるようになったのはその頃からです。
私も自分なりに工夫していました。朝は早起きして副業と家事を終わらせてから出勤し、帰宅後は子どもをお風呂に入れ、洗い物も自分が担当。夫として父として、やるべきことはやっていると思っていました。
そんな中、家族のコミュニケーションツールとしてゲームをする習慣ができました。妻も最初は自身の娯楽として時間を決めてゲームをしていました。家族の時間を楽しく過ごせる。妻も楽しみの時間を作れる。これは良い買い物をしたなとぐらいに初めは感じていました。
ですが、妻は友人と深夜までゲームをする習慣ができました。最初は私生活に支障のない範囲でしたが、次第に深夜まで続けるようになり、朝が起きられず、子どもの食事の準備ができない日も増えていきました。
最初は家族のコミュニケーションツールとして一緒に楽しむポジティブな面もありましたが、次第に家庭全体の生活リズムが乱れ始め、気づけばお互いに余裕のない日々が続くようになっていました。
そして決定的だったのは、子どもが小学校に上がるタイミングで妻が「私の地元に戻りたい」と言い出したことです。
「田舎より都会のほうが子どもの選択肢が広がる」と話していましたが、私には“自分が地元のコミュニティに戻りたいだけでは?”と感じてしまいました。
本当に子どもの将来を考えての判断だったのか、正直なところ、当時の私はそう思えなかったのです。
自分は今の職場に残りたいという思いが強く、地元に戻る選択肢は持てませんでした。
結局、お互いが望む場所が違うことが決定的なすれ違いとなり、離婚という選択が現実味を帯びてきたのです。
第2章:子どもがいる中での迷いと葛藤
離婚を考える中で、最も苦しかったのは「子どもにとって本当にこれでいいのか?」という問いでした。
自分自身のしんどさや、妻との関係の限界は感じていても、親としての責任や罪悪感は簡単には割り切れませんでした。
「片親になると子どもがかわいそう」
「夫婦が仲良くしていた方が、子どもにとっても安心だ」
そういう声が頭をよぎるたびに、離婚を選ぶ自分が“逃げているだけ”のようにも思えて、決断に踏み切れませんでした。
でも、ふと立ち止まって考えたんです。
「このまま、お互いに不満を抱えたままの家庭の空気の中で、子どもは本当に幸せなんだろうか?」と。
妻との言い争いや、家庭のギスギスした空気の中で子どもが育つのと、別々になってもお互いが落ち着いて接することができる環境とでは、後者のほうがずっといいのではないかと、少しずつ思えるようになりました。
実際、別居後も子どもと過ごす時間を確保するようにし、遊んだり、食事を一緒にしたりと、限られた時間の中で「しっかり向き合う時間」を大切にしています。
一緒に暮らしていたときは、どこか日常に追われて、子どもと“ちゃんと向き合う”ことが難しかった。けれど別々に暮らすようになってからの方が、子どもの言葉ひとつひとつに耳を傾ける自分がいることに気づいたんです。
子どもが「今日、父ちゃん来る?」と聞いてくれるたびに、心がぎゅっとなります。でも、今はその“会える時間”を全力で大切にしていきたいと思っています。
家族がバラバラになることを選んだのではなく、**「子どもとちゃんと向き合える父親でいるために」**自分にできる選択をした。そう思っています。
第3章:話し合いと決断のプロセス
離婚の話を初めて口にしたとき、正直、相手がどう出るかはまったく読めませんでした。
最初は冷静に話そうとしても、やはり感情がぶつかってしまいます。「なんでそんな話になるの?」「私のせいなの?」と、責められているような空気になることも多く、毎回の話し合いは消耗戦でした。
特に子どものこと、そしてお金のことになると話が進まない。
「家計のやりくりをもっと協力してくれたら」「お互いに話していてもラチがあかない」──お互いに不満が溜まりすぎていて、何を話しても平行線。建設的な話ができないまま、同じところを回るような時間が続きました。
私は少しでも話し合いを前に進めようと、日々の記録や家計の明細をまとめ、LINEのやりとりもスクリーンショットで残すようになりました。
「これは後々“言った言わない”になるときのために必要かもしれない」──そう感じたからです。
さらに、自分の勤め先で親身になって相談に乗ってくれる方がいて、離婚の手続きについて一緒に考えてもらえたことは大きな支えになりました。
家庭裁判所の調停制度や、法テラスの無料相談などの制度も視野に入れ、実際に利用を検討していました。
最初は「もしかすると、これまでの積み重ねや記録をもとにすれば、夫婦で直接の話し合いもできるかもしれない」と思っていました。
しかし、現実はそう簡単ではありませんでした。
妻との直接のやり取りは、どうしても感情的になってしまう。
LINEで冷静に話そうとしても、返信が途中で途切れてしまい、話が進まない。
そこで私は、第3者を挟んで手続きを進めるために、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行うことにしました。
現在、調停の申し立てを終え、実際の手続きが始まるところです。
まだ離婚は成立しておらず、まさに今もその最中にいます。
今後どうなるかは正直わかりません。
でも、自分の中では「できることはやってきた」という実感があります。
この経験が、これから離婚を考える誰かの参考になればと願いながら、ここまでの道のりを記録しています。
第4章:同じ状況の男性へのメッセージ
もし今、あなたが「離婚」という二文字に向き合っているのなら──その苦しさ、よくわかります。
私も同じように、何度も迷い、悩み、揺れてきました。
「本当にこれでいいのか?」と、自分を責めた日もありました。
でも今、はっきりと言えるのは、「離婚=逃げ」ではないということです。
それは、“自分と家族のこれから”に真剣に向き合った結果、出した選択肢のひとつであるということ。
離婚に至るまで、あなたがしてきた努力や葛藤は、誰にも否定できません。
「もう無理だ」と思ったことも、「それでも続けようか」と思ったことも、全部が真実で、全部が正しいプロセスです。
自分を責めすぎないでください。
そして、できていることにもちゃんと目を向けてほしい。
朝起きて、仕事に行って、子どもの話を聞いて、悩みながらも向き合っている──それだけでも、あなたはすごいんです。
それでも、ひとりで抱え込む必要はありません。
相談できる人が1人いるだけでも違います。
私自身、職場に親身になって話を聞いてくれた方がいて、本当に救われました。
家庭裁判所、法テラス、行政の相談窓口──法的な支援もあります。
「家庭のことに外部を入れるなんて」と思うかもしれませんが、あなたの人生を立て直すための選択肢として、知っておくだけでも安心できます。
離婚は人生の“終わり”ではなく、“再出発”です。
子どもとどう関わっていくか、自分がどう生き直すか。
それを考え始められるタイミングが、今かもしれません。
私もまだ、その途中です。
だから、これからもこのブログで、自分の経験を記録しながら、同じように悩む誰かの背中をそっと押せるような言葉を綴っていきたいと思っています。
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